たねちゃんモテモテになりたいッ

「モテモテになりたい!」という とても素直な気持ちから
種ちゃんは「フォトグラファー」を目指しました
その夢は実現して絶頂期を迎えるのですが
そこから種ちゃんに大きな変化が起こります
その変化の中で たくさんの発見をするんですね
ちょっと体験できない 感覚的で疾走感のある話をお楽しみください!

人物図鑑インデックス

種田宏幸
名前 種田宏幸
職業 フォトグラファー

第4回 「人間魅」を極めるには?

イ:今、おいくつですか?

種:年齢を聞かれた時は、35~45歳って言ってるんですよ。たとえば、東京でモデルのオーディションをやってた時なんか、モデルの子の名札には「16~23歳」なんて書いてあるんですよ。

イ:?

種:これは「私は何歳から何歳までのモデルが出来ますよ」っていうことなんです。モデルは見た目が勝負ですから。いくつになろうと、その歳に見えればいいんですよ。

イ:じゃあ「35~45歳」っていうのも、「私はその年齢になれますよ!」ってことなんですか?

種:そういうこと! すごく年齢を重ねていてもイマイチな人もいれば、若くて才能が溢れてる人もいるわけで、東京にいた頃から「歳なんて関係ない!」って感覚があったんですよ。それで、そんな言い方をしてます。

イ:もうちょっと幅がありそうな気がしますけどね(笑)。

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種:いやいや(笑) 上下どっちにですか?

イ:どちらにも。 たぶん60歳くらいになった時も「35~60歳」って言ってそうですよ。

種:それは嬉しいですね(笑)。
でも、そのためには、たとえばFacebookとか、いろいろと「時代の流れについて行かないといけない」と思いますよ。そういう部分は、だんだんと苦手になってくるじゃないですか。

イ:「ついて行かないといけない」と思いますか?

種:やっぱりいけないでしょ!

イ:それは、「VOGUE」を空輸で取り寄せていた時と同じ理由ですか?

種:というより、今の社会を取り巻く環境を考えると、ソーシャルネットワークは社会の一翼を担っているわけですから、そこにはついて行かなければいけないと思っています。

イ:もし、種田さんの人物印象が、そのままネットワークに落とし込めるとしたら、かなり人気になると思いますね。「飯食いました+画像」みたいなネタにはならないはずですから。

種:私はFacebookをしてますが、「飯ネタ」は入れないようにしてるんですよ。
ソーシャルネットワークのセミナーに参加すると、「そこから写真館のビジネスを展開しましょう!」なんて言っていますけど、そこまでにはしたくないなって思ってます。
でも、少なくともついて行ってないと、今の時代に背を向けることになりますから、ちょっとずつ勉強してます。

イ:「アナログを補完するためのデジタル」ということなんでしょうか…。

種:自分の人生のテーマは『人間魅(にんげんみ)』なんですよ。「人間味」ではなく「人間魅」。人として魅力のある男になりたいって思ってるんです。
どんなにソーシャルネットワークが発達しても、それは、コンピュータっていう道具を媒介としたものだと思うんです。コンピュータは自ら写真を撮ってくれませんよね。結局は人じゃないですか。

イ:「アナログでつながってないとデジタルは生かせない」っていうことですか?

種:そうです。だから、突き詰めると人としての魅力、「人間魅」これに尽きるって思います。

イ:ご自身は、今後それを極めていこうと思われているわけですね。

種:そうですね。「人間魅」って人生観みたいなものなので、知識と体験で成り立っていくものだと思うんですね。知識は本などを読んで勉強するしかないけど、特別なことじゃなくても、苦手なことから逃げずにちょっとずつ体験を積み重ねていくことが大切ですね。

イ:「少しずつ自分を変えていく」ということですね。

種:ええ。少し前の自分だったら、今回のこのお話も「お腹痛いってことにしちゃおう」とか、「風邪ひいちゃったことにして…」って、断る理由を考えていたわけですよ。でも、「返事は『はい』か『Yes』しかない」って決めてからは、少しずつ体験が積み重なってきましたね。体験を積み重ねる為にも、返事は「はい」か「Yes」ですよ!

イ:「自分で自分の背中を押す」みたいな感じですかね。

種:そうですね。そういう気持ちですね。

イ:いろいろな方の影響を受けて「人間魅」ということにたどり着かれたと思いますけど、最終的には「種ちゃんオリジナル」の域になっていくんでしょうね。そういう気がしますよ。

種:うれしいですね。そう言ってもらえたら。

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イ:写真の話に戻るんですが、人の顔というのは、やはり時代とともに変わっているものなんでしょうか?

種:もしかしたら、変わっているかもしれないですね。でも、変わっていようがいまいが、その人のいいところを見つけ出して表現するという仕事の基本は、変わらないと思いますよ。

イ:たとえば、初対面の方がいらっしゃった時、雑談などを手がかりに、その方の人物像を想像したりするものなんですか?

種:ヘラヘラとやっているように見えますけど、そこは結構見てますね。「どこにその人のツボがあるのか?」っていうのは、撮りながら見ています。心の真ん中に「ビシッ」とストライクを投げないといけないタイミングとか、注意深く見てますね。
表情を引き出す為のボールの投げ方っていうのは、いろいろ考えてます。

イ:「つかみ」みたいなものですか?

種:そうですね。ブライダルとかのスナップ撮影に行っても、人にあった持って行き方、切り口とかは隠れて努力してますね。自分の仕事は人を喜ばすことだから、「どうすればいいか」っていうのは、TPOで使い分けていかないといけないですね。ただ撮ればいいってわけじゃないですから。そこの引き出し方の手法っていうのは、いろいろ考えています。

イ:人物を写す際に「この人スゴいオーラが出てる!」っていう方はいらっしゃるんですか?

種:米子でもそういう方に当たることもありますけど、東京にいた頃に強烈なオーラを体験したことがありますよ。東京コレクションで、通常は来日しないようなスーパーモデルを撮る機会があったんですが、カメラを通して「モワ~」ってオーラが見えるんですよ! 「ブワァ~!」ってエネルギーが見えるんですよ!! 「ブワァ~、モヤ~」って見えるんですよ!!! その時の衝撃は忘れないですね。そのモデルはすごかったですね! オーラとオーラのぶつかり合いって感じでした!

イ:オーラって、自分がその方のことを「スゴい!」って思うから、自分のフィルターを通して見えてる気がするんですけど、違うんですか? ホントに見えるんですか?

種:エネルギーっていうのかな…。その時の仕事に向かう気持ちっていうのがエネルギーとして出るような気がします。

イ:超一流としてやってる人たちは、集中力や気持ちが半端じゃないということですね。

種:そう思いますよ。本当にカメラを通して、「ブワァ~!」って出てるんですよ!!

イ:でもそういうモデルと対峙するためには、こちらも相当な気持ちで臨む必要がありますよね。

種:そうです。でも、そこで「写真を撮らされてる」っていう感じにはなりたくなかったんですね。初めてフォトグラファーになった時とか、カタログの仕事は、白い背景をバックにポージングをしてるモデルから「ここよ!ここで押しなさいよッ!」って言われてる気がして、撮らされてる感や自分はまだまだだっていうのがありました。
そこから、次第にこちらも「ああして!」「こうして!」っていう闘いの中でポーズを作っていくんですね。
東京コレクションのスーパーモデルの時は、「撮らされないようにしなきゃ!」って、こっちも必死でしたね。結局、撮らされていたかもしれないけどね。

イ:まさしく格闘技ですね。

種:ですね(笑)。ぶつかり合ってましたよ。油断してたら相手に負てしまう。そうすると、単なるシャッターマンになっちゃいますからね。

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イ:こちらに帰ってこられてから、仕事上で心がけていることはありますか?

種:先ほどお話したとおり、一番のテーマは「人間魅」なんですけど、40歳代のテーマとしては「トキメキ」なんですね。自分がときめいてないのに、お客様に「いい笑顔出してよ!」なんて言っても出てこないですよね。
社長だったら、自分がときめいてないのに、社員に対して「お前ら、頑張ってやれよ!」って言ったって無理じゃないですか。だから、自分がときめくようにしようって心がけています。

イ:「トキメキ」は、具体的に撮影でいうとどういうことなんですか?

種:「自分が持ってるエネルギーやテンション、それは必ずお客様を超える」ということですね。自分のテンションが低いのに、お客様が高いってありえないじゃないですか。自分のテンションが高くないとお客様も上がっていかないっていう意味で「トキメキ」は大切ですね。

イ:たとえば、お客さんのテンションが低すぎる場合は、どう対応されるんですか。

種:写真を撮るためにスタジオにいらっしゃった時、「撮られたくない」という感じの方はいますよね。中学生ならそれでいいんですよ。中学生の頃は、そういう姿を残すこともいいですから。でも、誰かのお祝いなどの場合は、たとえば「おじいちゃんのお祝いだから、みんなで『おめでとう!』って言ってみよう!  声を出すと表情が変わるんだよね!」って、気持ちを盛り上げてパシッと撮ると、いいモノができたりするんです。
「飲み込んだ」という言い方をするんですけど、これも相手にテンションを伝えるという意味では「トキメキ」のひとつだと思いますね。

イ:現在は、テンションを上げることによって「飲み込んでる」ところもあると思うんですけど、これから年を重ねていって「人間魅」が備わってくると、「静かに飲み込んでいく」というように変わっていくんじゃないですか? そんな気がしますけど…。

種:そこは、変わっていかないとダメでしょうね。

イ:「撮られたくない」と思っている人も、「自然にいい表情が出てしまう」という風に?

種:引き出す…みたいなね。
自分は、昔から尊敬してる世界的なカメラマンが二人いるんですよ。ひとりはピーター・リンドバーグで、もう一人はリチャード・アヴェドンという人です。
リンドバーグは、「バーッ」とモデルを動かして動の写真を撮る巨匠なんですね。
アヴェドンは、ポートレートの世界的な第一人者です。相手と会話をしながらその人の魅力を引き出して「ボンッ」と撮るんですよ。自分は、そういう風になりたいっていう気持ちをいつも持っています。アヴェドンの「光と影」っていうビデオは、繰り返し見返すようにしてますね。
全然そこまで行けていませんけどね。チャラ男だから(笑)。

イ:でも、今回のお話を伺っていて、そこに向かおうとしている気持ちは十分伝わってきましたよ。

種:そう言われたら嬉しいな。

イ:アヴェドンはどういう方か知りませんけど、「種田さんの今の延長線上に存在する方である」ということはよくわかりますよ。

種:今の自分では、なかなかそこまで行けないです。

イ:でも、現在の延長線上に確かに存在していると思いますよ!

種:ありがとうございます。

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イ:最後に、就職活動の写真を上手に撮る話なんですが、やっぱり、写真屋さんで撮るのが一番なんですか?

種:いや、もちろん技術的にはプロが撮るのが一番いいと思いますけど、結局「人間魅」だと思うんですよ。

イ:まず、「素材である自分の魅力を高める」ということですね。

種:そうです。
最近、コミュニケーションが苦手な人が多くないですか?  自分たちは、技術で写真を良くしていくけど、ソーシャルネットワークとかで会話を済ませてしまって、アナログなコミュニケーションをとるのが苦手な人は、「人間魅」を上げるために「返事は『はい』か『Yes』」でやっていくと、おのずといい表情で撮れると思いますよ。
そういう意味でも、コミュニケーションは大切ですね。

イ:求職者の方と面談していて、その方の懐に入っていくと、普段と違う表情を見せてくれることがあるんですが、それと同じ感じがします。ちょっとした瞬間の表情っていうのは「これだよ!」って思ったりすることがありますね。

種:職業訓練は、パソコンなどの技術を身につけながら「自分が一番やりたいこと」とか「好きなこと」を見つけていくんでしょ。自分はスタートが単純だったからなぁ…。深く考えてなかったからね…。

イ:いや。絶対に単純な方がいいと思いますよ。

種:単純な方が強いよね。

イ:強いと思いますね。シンプルだから迷いもないですし。

種:自分なんか、はたらく動機が「モテモテになりたい!」っていう人間の一つの欲のような部分ですもんね。性欲とかさ(笑)。そういうものの裏返しだから、そりゃ頑張れますよね(笑)。

イ:まぁ、種田さんの場合は、極端すぎだと思いますけど…。

種:人間の本能の欲ですからね。心理学でも「性欲は人間の基本的欲求である」っていうのがあるらしいので…。

イ:だから、極端すぎなんですって!(笑)
でも、今回のお話は、極端だからこそ感覚的なものを含めてよく理解できたと思います。

種:ありがとうございます。

 

(取材/平成24年11月9日)

 

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